手すりの設置場所と高さの目安【介護保険の入口】
結論・要約
廊下や階段は床から手すりの上端まで75〜85cm程度が出発点ですが、立ち上がりには縦、歩行には横が向きます。壁の下地や動作を確認せず固定すると外れる危険があるため、介護保険の住宅改修を考えるなら工事前に地域包括支援センターへ相談してください。
手すりより先に、今すぐ相談すべき状態ではない?
すでに転倒した、頭を打った、強い痛みや出血がある、立てない、意識がいつもと違う場合は、手すり選びより周囲への助けを求め、必要なら119番へ連絡してください。手すりが揺れる、壁が割れている、金具が動く場合も使用を中止します。ドアノブや棚、タオルを巻いた家具を代用品にするのは、外れたり動いたりするため危険です。
設置場所は「転びそう」だけでなく、①立ち上がる、②歩きながら手を送る、③段差や方向転換をする、④介助者とすれ違う、のどの動作で困るかを確認します。動線を紙に描き、手を伸ばした位置へ印を付けると、横一本か縦の追加かを決めやすくなります。
場所別の高さは?75〜85cmを起点に動作で調整
高さは床から上端か中心かで測り方が変わるため、施工者へ基準を確認します。国土交通省の2026年7月時点の建築設計基準資料では、階段・段・傾斜路は75〜85cm程度、2段の場合の下段は60〜65cm程度です。住宅では一律に写さず、本人が握って調整します。
| 場所・動作 | 高さの出発点 | 向き・形の考え方 |
|---|---|---|
| 廊下を歩く | 75〜85cm程度 | 横。端部は衣服が引っかからない形にする |
| 階段を上り下りする | 75〜85cm程度 | 横または斜め。段の始まり・終わりまで手を送れる長さにする |
| 玄関の上がりかまち | 75〜85cm程度、低い段には60〜65cm程度も検討 | 立ち上がりは縦、移動は横。靴を履く場所をふさがない |
| トイレの立ち座り | 便座と体の位置から調整 | 前方の縦、横移動の横。便器や壁との離れも測る |
| 浴室の出入り・立ち座り | 75〜85cm程度を起点に届く位置 | 縦・横を動作別に配置。吸盤式だけに体重を預けない |
高すぎると肩が上がり、低すぎると前かがみになります。靴を履いて握り、肘が伸び切らず肩をすくめない位置を試します。身長だけで決める、本人不在で決める、数字を床へ機械的に写す、の3つは失敗です。
縦手すりと横手すりは、何を支える?
横は歩行中に手を送り続ける形、縦は便座・椅子から立つ、段差をまたぐ、方向転換する時に下から上へ握る形です。玄関を横だけにすると立ち上がりの最初の一手が届かず、廊下を短い縦だけでつなぐと歩行中に手を送れません。トイレは立ち座りなら前方の縦、横移動なら横または跳ね上げ式が候補ですが、便器・利き手・介助者の位置で変わります。
国土交通省資料の目安は、水平部分45cm以上、円形の外径3〜4cm程度、壁との間隔4〜5cm程度です。狭すぎると握りにくく、広すぎると袖や腕が入り込みます。
固定不良はどこを見る?ねじを増やすだけでは直らない
手すりには荷重がかかるため、柱・間柱・構造用合板など、ねじを保持できる下地へ固定します。石こうボードだけに短いねじを打つ、補強板なしで金具を一か所へ集中させる、壁紙越しに下地を推測する、の3つは外れる原因です。
点検は、上下左右の揺れ、浮いたねじ頭、金具周囲の壁のひび・へこみ、端部の引っかかりを確認します。揺れる時に接着剤を足す、同じ穴へ太いねじを締める、カバーで隠すのは避け、使用を中止して施工者へ依頼します。賃貸は穴あけ前に管理会社や貸主へ相談します。
手すりを選ぶなら、廊下用の横手すりや立ち上がり用の縦手すりのように、場所と動作を含む条件で探すと、長さや金具の仕様を比較しやすくなります。ただし、検索結果の見た目だけで壁材への固定方法を決めないでください。
介護保険の住宅改修は、工事前にどこへ相談する?
2026年7月時点で、厚生労働省は手すりの取り付けを介護保険の住宅改修の対象にしています。支給限度基準額は原則20万円ですが、認定区分、過去の利用、自治体の手続きで変わります。工事後に申請すると対象外になる可能性があるため、先に相談します。
入口は、本人の住所を担当する地域包括支援センターです。市町村が設置する高齢者の総合相談窓口で、制度利用や介護予防につなぎます。要介護の人は担当ケアマネジャーにも連絡します。相談時は次を用意します。
- 手すりを付けたい場所の写真と、おおよその寸法
- 立つ・歩く・トイレへ移る時に困る動作
- 介護保険の要支援・要介護認定の状況
- 賃貸か持ち家か、管理会社・貸主の許可が必要か
相談後は、動作確認、改修内容と見積もり、自治体への事前申請、工事、完了確認という流れが一般的です。75〜85cmは基準であり、目的は必要な瞬間に握れて、固定部へ安全に力を伝えられることです。
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よくある質問
手すりの高さは何cmが正解ですか?
廊下や階段では、床から手すり上端まで75〜85cm程度が一般的な出発点です。ただし、身長、靴、握る位置、歩く・立つ・座る動作で適した高さは変わります。実際の動作を見ながら専門職や施工者に調整してもらってください。
廊下の手すりは縦と横のどちらがよいですか?
廊下を連続して歩くなら横手すり、出入口で向きを変える・立ち上がる動作には縦手すりが使いやすい傾向があります。一本で全てを済ませず、足を出す向きと手を伸ばす位置を確認して決めます。
トイレにはどの向きの手すりを付けますか?
便座から立つ、座る動作には便座の前方でつかめる縦手すりが役立つことがあります。座位を保つ、横へ移る動作では横手すりや跳ね上げ式が候補です。便器の位置、利き手、介助者の立つ場所で変わるため、寸法だけで決めません。
介護保険で手すりを付けられますか?
要支援・要介護の認定を受けた人の住宅改修として、手すりの取り付けが対象になる場合があります。支給限度基準額は原則20万円ですが、対象工事、自己負担、申請時期は自治体や個別状況で異なります。工事前に地域包括支援センターやケアマネジャーへ相談してください。
手すりが少し揺れるだけなら使い続けてもよいですか?
揺れを感じる手すりは、ブラケットの緩みだけでなく、壁の下地に固定できていない、ねじが短い、壁材が傷んでいる可能性があります。体重をかける使用を中止し、施工者や管理会社に点検を依頼してください。締め直しだけで済むとは限りません。
